比喩表現・描写・薀蓄 をメモ
- 映写機が故障したように、二人はじっと動かなくなった 147
- ふいに、ひんやりと濡らしたハンカチのような影がおちた。雲が出たのだ 164
- 苦痛が、そっと周囲の風景のなかに引いていく。 173
- 見当をつけそこねて、はみ出してしまったようなはしゃぎかただ 178
- 胃を吐き出して吠える、不安な犬 179
- 静かだ!‥‥まるでゼラチンの底に閉じ込められているようだ 199
- 手段の目的化による鎮痛作用 199
- 野次馬的な好奇心だけは、もぎ忘れた柿の実くらいには熟しきっているにちがいない 88
- 死んだ蠅の脚のような活字 101
- 何度か鼻面をぶつけて、金魚鉢のガラスが通り抜けられない壁であることを、はじめて知った魚137
- 罰とは、とりもなおさず、罪のつぐないを認めてやることにほかならないのだから 60
- たしかに労働には、行先のあてなしにでも、なお逃げ去っていく時間を耐えさせる、人間のよりどころのようなものがあるようだ 177
- 傷だらけの片道切符を、鼻歌まじりにしたりできるのは、いずれがっちり往復切符をにぎった人間だけに決まっている 181
- 猛獣映画や、戦争映画のたのしみは、たとえ心臓病が悪化するほど、真に迫ったものであったとしても、ドアを開ければすぐそこに、昨日の続きの今日が待っていてくれるからなのだ 203
- 互いに傷口を舐め合うのもいいだろう。しかし、永久になおらない傷を、永久に舐め合っていたら、しまいに舌が磨滅してしまいはしないだろうか 231
- あてもなしに、ただ待つことに馴れ、いよいよ冬ごもりの季節が終わったときには、まぶしくて外に出られないということだって、十分に考えられるわけである 239
- けっきょく砂地の乾燥は、単に水の欠乏のせいなどではなく、むしろ毛管現象による吸引が、蒸発の速度に追いつけないためにおこることらしい 259
故事成語・慣用句・その他言葉の意味
万事休す
- すべてが終わりである。もう何とも施すべき方法が無い 広辞苑
- すべてのことが休んでしまった。これ以上先に進まない 言葉のレシピ 語楽より一部引用
さいなむ(苛む)
- しかる。責める
- いじめる。苦しめる。むごく当たる。折檻する 広辞苑
賽の河原
- 小児が死んでから苦しみを受けるとされる、冥途の三途の河原。石を拾って父母供養のため塔を造ろうとすると鬼が来て壊す、これを地蔵菩薩が救うという。転じて、いくら積み重ねても無駄な努力 広辞苑
- 親より先に亡くなった幼児たちは極楽には行けず、本来なら不孝の罪によって地獄に行くところが、幼少のため、この賽の河原にとどまり、一つひとつ小石を積み上げる
- 参考:地蔵和讃
狼狽
- (「狽」は狼の一種。一説に、狼は前足が長く後足は短いが、狽はその逆。両者は常に共に行動し、離れると倒れて、うろたえることから)あわてふためくこと。うろたえ騒ぐこと。
- 「うろたえる」とは、不意の出来事に驚きあわてて、まごつくこと、とのこと。 広辞苑
※また、中国語で「狼」は牝狼を意味する(牡は別の字)こと等から、狼をメス・狽をオスと無理やり仮定した上で、「(前足の長い)狼の後ろに(後ろ足の長い)狽が乗る」というもう一つの説明を合わせて考えた結果、「狼狽」したのは他ならぬ二匹の、「オスがメスの上に重なっている状態」を見られたからかもしれない、と導く面白い解釈もある。たぶんそんなことはないと思うが‥
※参考
http://page.freett.com/kiguro/z-gogen.html
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Ink/3399/sitteru0.htm
http://tisen.jp/tisenwiki/index.php?%CF%B5%C7%E2