20070203

[表現]気なる表現



バカ編

「肺に青いバラが咲いて死ぬ奇病」 
※ヤングジャンプ。何でもロマンチックに美化してしまう少女マンガを少し小バカにした感じで使用。「青いバラ」という表現が新鮮な感じの極地。青バラ~」はゴスロリ・ビジュアル系なども同じ匂いがする。新鮮な表現だと感じつつ、ステレオタイプの印象を受けるのが面白い。普通の文脈で使ってもバカで面白い。

「ちょうちょ結びの高気圧が 君のハートに接近中」 
※GAOの溜池nowで流れた「金魚注意報」というアニメの歌詞。歌詞全体も天気用語の比喩で埋め尽くされている。「高気圧」に例えられているのは多分、恋する元気な女の子。そういうことが歌詞の一行で表現できているということはすごい。と同時に、普通の文脈で使うとちょっと面白いバカ表現になるので、いい。また、この歌詞には他にも「今日もはなまる」という表現もあり、能天気でバカで面白い。

「目でピーナツをかめ!」
※ドラえもん。ジャイアンがのび太と何かの賭けをして、その敗者がやる罰ゲームとして提案。目でものをかむという、(字面どおりに考えるなら、目の機能からすれば論理的に不可能な)無茶なことを言い出すジャイアニズムに感服。漫画の中ではのび太が結局負けて、まぶたでピーナッツを挟んでいた。言い方が面白いし、その無茶な言い方の背景にジャイアンの考え方が見え隠れしていて、「ジャイアンだからこの言い方にしかならない」と変に納得してしまうところもまた、面白い体験だった。



文学的比喩表現編

「銀の針の様な ほそくきれいな声」 ※宮沢賢治 「黄色いトマト」

「ピタゴラス派の天球運行の諧音です。」  ※宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」

「かま猫はもうかなしくて、かなしくて頬のあたりが酸っぱくなり、そこらがきいんと鳴ったりするのをじっとこらえてうつむいておりました。」  
※宮沢賢治 「猫の事務所」。悲しさのあまり、悲しくて頬のあたりが酸っぱくなったり、そこらがきいんと鳴る感じというのが自分にとって何だかリアリティを感じた。悲しいときには本当にそうなるかも、とは思うが、実際そういう体験をしたことがあるのかないのかは思い出せなく、曖昧。しかし、その悲しい様は伝わってくるし、悲しさの在り方の一つとして共感もできる。悲しいを「悲しい」という言葉だけで表現するだけではなくて、悲しいときに体に起こる生理的な反応をやわらかい言葉で分析的に記述することにより生じている雰囲気がとてもいい。科学の態度を文学の態度の中に取り入れることによって、この「いい雰囲気」を作っている。

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