20070530

[表現]田中ロミオ・山田一

ライター・田中ロミオの作品から。気に留まった表現、語彙を抜粋。

家族計画
  • 「胸を張って、名誉と命にかけて、法的実行力をともなった誓約書にサインと拇印を押したものにかけて、そう断言できるのかしら?神かけて、天と地にかけ て、インディアンの掟にかけて、ハンムラビ法典にかけて、主君の名にかけて、誓うことができるのかしら?あなたの言うところの好意が、何ら邪心のない汚れ なき心から生まれ出た完全で一分の隙もない徹底的絶対的かつ完璧で純粋な究極人間愛に基づく『好意』であると───青葉は息を吸った。言えるの?」

setsuei
  • 「木訥で言葉少なな人」
  • 「つまらない考えに耽溺してしまった」
  • 「子供じみた焦燥に駆られ」
  • 「悲しみは曇りガラスを透かした太陽のように曖昧で不確かだった」
  • 「外は寒いばかりで、低い冬の空はこの家と同じに狭く息苦しい」
  • 「世界を覆っていた真っ白い色彩に目を細めた。まるで白い闇。視界を失っていたのはほんの一瞬だ。目が慣れてしまえば冬の光はなんの力も持たないことがわかってしまう。」
  • 「頬が切れるほど寒い」
  • 「バカ、ブス。なけなしのボキャブラリーを総動員して、精一杯の捨て台詞を投げ捨てる」
  • 「小さく嬌声が挙がった」
  • 「紫色の朝焼けに滲んだ庭」
  • 「黒い帳の向こうから、なにか怖いものに見つめられているような感覚」
  • 「祭りの余韻にあてられて、ぼんやりとした頭を必死に巡らせるが、納得のいく答えはでてこない」
  • 「日々に追われる東京での暮らしの疲れが、湖水のように静かな時間に溶け落ちていくような-そんな心地のよい安らぎがあった。」
  • 「セピア色の記憶の宝石は、気づかなかっただけでまだまだこの土地に埋もれていた」
  • 「お月様きれいだね。 言葉のまま月を探す」
  • 「紫子は相変わらず歩くのが速い。その速さは春風みたいに闊達で、気分がいい。」
  • 「冬は切り離された異界が音もなくすぐ傍に帰ってくるときなのだろうか」
  • 「長い呼び出しの後で不意につながった受話器ごしの声は‥」

  • 「そばに居なければ縁というものは自然と遠のくのだ、と学校の先生に聞かされたことがある」
  • 「一人の人間を戸籍から抹消する場合、死亡以外には失踪宣告という法律の手続きがある。それをしないと、その人間は生きていることになり、相続や税金の問題が解決しないからだ。普通の失踪の場合は、八年経たたないと失踪宣告をすることができない。この場合-危難失踪なら一年でそれが行われることになる」

  • 老獪:経験を積んでいて、非常にわるがしこい・こと(さま)
  • 矜持:自信と誇り。自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと。きんじ。プライド。「犬みたい、という言葉が矜持に引っかかったが‥」
  • 泰然自若:少しも物事に動じないさま。「一人泰然自若としている」
  • 鬼の霍乱(かくらん):〔「霍乱」は暑気あたりの意〕いつも非常に健康な人が、珍しく病気にかかることのたとえ。
  • 荼毘に付す: 〔梵 jhpeta〕火葬のこと。
  • 霞を食う:〔仙人は霞を食って生きると信じられたことから〕俗世間を超越して生きる。

Engin ummæli: