20070612

[本]ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』

ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』岩波文庫

あらすじを少々

主な登場人物は4人の孤児。ポール、エリザベート、ジェラール、アガート。
ポールは同じ学校の悪ガキダルジュロスを崇拝。しかし、学校をリタイアしてからその感情はダルジュロスの写真に移り、アガートたちと住むようになってからは彼女の中にダルジュロスの面影を見つけ、最終的に彼女に対して愛情を抱くようになる。エリザベートの弟。
ジェラールはポールの同級生。ポールがダルジュロスに対して抱いている感情を、ポールに対して抱く。目覚めつつ夢を見るという不思議な恍惚状態をポールから学び、その不思議な感性をポールそのものとして、その魅力を感じている。どういう流れか不明だが、少女から娘と成長したエリザベートに愛情を抱くようになる。しかし長年の付き合いの中で、彼女に愛情を与えることは彼女から愛情を奪う、という矛盾に思える繊細な洞察をし、彼女を自分の中で聖処女として位置づけただ偶像的に理解するようになった。
アガートはエリザベートの同僚。「マネキン」と呼ばれるファッションモデルの仕事を行う。いつからかポール、エリザベート姉弟と住むようになる。ポールに愛情を抱くが、エリザベートの策略によって、ポールへの気持ちを無理やり断ち切られ、最終的にジェラールと婚姻する。
エリザベート。弟に対して倒錯した愛情を抱いている。その愛情をどう評価するか、というのがこの小説の主な主題一つと考えられる。

ダルジュロス。ポール、ジェラールの同級生。意識的に無意識的にポールに影響を与える。現実というポールの狭い世界の中で、彼に対して唯一強烈に際立っていた存在。その容姿や立ち振る舞いの中に何らかの魅力を感じていた。登場場面はほとんどないが、重要人物。


単語の意味

中風
  • 脳卒中。脳出血によって、半身または腕・足など身体の一部がマヒして感覚がなくなり、自由が効かなくなる病。
軒蛇腹
  • 軒近くに設けた蛇腹。
  • 軒(のき):屋根の下端で、建物の外壁から張り出した部分。風雨や日光をよける。
ためつすがめつ(矯めつ 眇めつ)
  • 〔動詞「たむ」「すがむ」の連用形に完了の助動詞「つ」が付いたもの〕いろいろな方からよく見るさま。とみこうみ。「―して見る」

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